Master’s Story #17
Energy Jewelry を始めた頃、
私はどこかで、こう思っていました。
「バリの職人さんは、Jewelry なら何でもつくれる」
でも、実際に深く関わってみて、
それは少し違うと分かりました。
ジュエリーづくりは、
想像以上に“技術の世界”だったのです。
ひとことで「手づくり」と言っても、
その方法はいくつもあります。
完全なハンドメイド。
型(モールド)を使う方法。
その中間のようなつくり方や組み合わせたつくり方。
デザインによって、
向いている方法も、向いていない方法もある。
シルバーの強度の問題。
ストーンの留め方。
サイズの限界。
重さのバランス。
少しでも無理があると、
「きれいだけど、壊れやすい」
そんなものになってしまいます。
そして正直に言うと、
―― どうしても作れないデザインもあります。
どんなに腕のある職人でも、
物理的に無理なものは無理なのです。
こうした話を、
工房の人たちときちんと共有するには、
ある程度の技術理解が欠かせません。
「ここは強度的に厳しい」
「この厚みだと折れやすい」
「この石だと留まらない」
こうした会話ができなければ、
無理なことを押し付けることになってしまい、
本当に良いものは生まれません。
私はITの世界で、
構造や仕組みを考える仕事をしてきました。
その経験が、
ここで思いがけず役に立ちました。
感覚だけでなく、
“構造としてどうか” を見る視点。
それが、
工房との対話を支えてくれています。
日本のお客様が、
直接バリの工房に依頼する場合、
実は大きな壁が三つあります。
ひとつ目は、言葉。
英語で細かなニュアンスまで伝えるのは、
想像以上に難しいものです。
ふたつ目は、距離。
基本は、ネット越しのやりとりになります。
写真と文章だけで、
イメージを共有しなければなりません。
あいまいな表現は命取りです。
そして三つ目が、技術。
「これは可能か」
「これは危険か」
「どこを調整すべきか」
それを判断できなければ、
話は前に進みません。
私は、
この三つすべてに、何度もつまずきました。
失敗も、遠回りも、たくさんしました。
でも、その積み重ねがあったからこそ、
今があります。
お客様の想いを受け取り、
技術として翻訳し、
工房に正しく伝える。
工房の判断を、
分かりやすく日本に届ける。
その “橋渡し” は私なら出来ると思うようになりました。
Energy Jewelry のカスタムメイドは、
ただの「代理注文」ではありません。
想いと、技術と、文化をつなぐ仕事です。
間に誰もいなければ、
多くの理想は、途中で消えてしまいます。
私は、
それを何度も見てきました。
だからこそ、
この場所に立ち続けています。
バリの職人たちの誠実さと、
日本のお客様の繊細な感覚。
その両方を、
きちんと形にしたい。
そのために、
今日も、工房と向き合い続けています。
静かに。
丁寧に。
ひとつずつ。


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