Master’s Story #14
気がつくと、
毎日、何かに追われるように過ごしていました。
仕事のこと。
人とのやりとり。
やるべきこと。
考えなければいけないこと。
一日が終わるころには、
「今日は何を感じていたんだろう」と
分からなくなっていることもありました。
忙しい、というより、
ずっと“頭の中が騒がしい”状態だったのかもしれません。
次の予定。
次の連絡。
次にやるべきこと。
そんなことばかり考えていて、
自分の気持ちや、体の感覚に
意識を向ける余裕は、ほとんどありませんでした。
疲れているはずなのに、
ちゃんと休めていない。
楽しいことがあっても、
どこかで気が散っている。
そんな状態が、
いつのまにか当たり前になっていました。
あるとき、ふと、
「最近、深く呼吸していないな」と思ったんです。
息はしているのに、
ちゃんと“呼吸していない”感じ。
その瞬間、
自分が思っていた以上に、
張りつめていたことに気づきました。
そこから、少しずつ、
立ち止まる時間をつくるようになりました。
何もしない時間。
スマホを置く時間。
ただ、静かに過ごす時間。
最初は、落ち着かなくて、
逆にソワソワしていました。
「何かしなきゃ」と
頭が言い続けてくるんです。
でも、続けているうちに、
少しずつ、変わっていきました。
風の音に気づいたり。
光の入り方がきれいだなと思ったり。
自分の気分の揺れに、気づけるようになったり。
忘れていた“感覚”が、
ゆっくり戻ってきたような気がしました。
忙しさが悪いわけではありません。
ただ、
忙しさの中にいると、
自分の声は、とても小さくなってしまう。
だから私は、
意識して、静かな時間をつくるようになりました。
感覚に戻る場所を、
日常の中に、そっと置いておくように。
身につけるたびに、
「今の自分はどうかな」と
ふと立ち止まれるような。
そんな存在だったらいいな、と思っています。
忙しい毎日のなかで、
ほんの一瞬でも、
自分に戻る時間があったら。
それだけで、
きっと、十分なのだと思うのです。


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